公正で持続可能な社会づくりをエンパワーする

empowering actions for just and sustainable society

トップページ コラム 【abt徒然草】#20「コロナのお供に」

アクト・ビヨンド・トラスト(abt)のメンバーが、日々感じたことを徒然に綴る「abt徒然草」。第20回は代表理事で作家・翻訳家の星川淳です。

外出自粛や自宅隔離で時間を持て余したら、もちろん読書もいいけれど、映画やTVドラマをネットで観るのも選択肢の一つ。ということで、ここ1~2年、主に東アジアの歴史ドラマがマイブームの不肖私から推薦をいくつか(NETFLIX、Amazon Prime、huluなど、複数の動画配信サービスで観られる作品が多い)。

【NETFLIX】
『ミスター・サンシャイン』
日本による朝鮮併合前夜の「義兵」と呼ばれるレジスタンスの人間模様を、セクハラ疑惑で人気下降気味というイ・ビョンホンと童顔のキム・テリが熱演。奴婢の身分から脱け出し、米軍人として帰国した主人公と、義兵のヒロインとのプラトニックラブストーリーでもある。
『奇皇后』
海で隔てられた日本列島と違い、いつも中国歴代王朝との直接対峙を迫られてきた朝鮮から貢女(こんにょ)という供物にされた娘たちの中で元朝末、順帝の皇后に上り詰めた高麗女性の愛と闘い。主演のハ・ジウォンが物語の進行につれて味を深める。

【Amazon Prime】
『師任堂(サイムダン)』
韓国の吉永小百合みたいなイ・ヨンエが、大ヒット作『チャングムの誓い』から14年ぶりにTVドラマ復帰し、5万ウォン札にも描かれた朝鮮王朝時代の天才女性画家・申師任堂(シン・サイムダン)と、現代のアート研究者とを2つのタイムラインで一人二役。女性差別を跳ね返す強い意志が底流に。
※添付写真は16世紀の申を演じるイ・ヨンエ(Cinem@rt http://www.cinemart.co.jp/ より引用)。
『チャングムの誓い』
上記の『師任堂』でイ・ヨンエの演技に触れ、日本でも放映されて人気の高かったこの長編ドラマに挑戦。説明は不要かもしれないが、主人公の大長今(テ・ジャングム)は朝鮮王朝時代の実在女性で、最下層身分の白丁(ペクチョン)から宮廷最高の料理人に、次いで朝鮮史上初めて女性として王の主治医に就く愛と涙の成長物語(ただしドラマは実話と離れた脚色が多いらしい)。
『孔子』
近年、世界各国に「孔子学院」の展開を図る中国の国策ドラマと思われるが、孔子の生涯をていねいに辿りながら、春秋戦国時代の肌合いを伝えていて、それなりに楽しめた。8割方フィクションと知りつつも、観終わって『詩経』『春秋』『論語』を読みたくなるから不思議だ。ちなみに日本列島ではこの頃、稲作が本格的に伝わり弥生文化が定着する。
『朱蒙(チュモン)』
紀元前108年に漢に滅ぼされた古朝鮮の復活をかけて、数奇な生い立ちから扶余(プヨ)王の養子となった朱蒙が幾多の困難を乗り越え、ついに高句麗(コグリョ)を建国。大陸と地続きであることがいかに難儀か、朝鮮半島の歴史と文化、そしていまもそこで生きる人びとを見直すきっかけになるかも。

ネットで観られる映画やドラマについては、abt徒然草の第18回も参考に。
「映画館のない島で」