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トップページ お知らせ オーガニック給食の普及に向けた初の公募助成 (2025年度)助成先7企画を決定!

一般社団法人アクト・ビヨンド・トラストが公募した、オーガニックシフト部門の2025年度「オーガニック給食推進プログラム」について計7件の企画を採択し、総額1,486,000円の助成を決定しました。

「オーガニック給食推進」助成の初回となる2025年度公募には、48件(はじめの一歩10件、ジャンプアップ38件)もの応募が寄せられました。私たちの予想を超える申請をいただき、全国でオーガニック給食の実現に向けて活動する市民団体や個人、保育園・幼稚園、事業者がこれほどたくさんあることに感銘を受けるとともに、この盛り上がりをさらに後押ししていく意味を再認識しました。オーガニック給食の未来に光が見えます!

申請企画は、農業や給食の現場における多様な活動に裏づけられた実践的な内容ばかりで、甲乙つけ難く選考には苦慮しました。「はじめの一歩」コースでは、実績が十分でなくとも地域で最初のチャレンジにふさわしい企画を、「ジャンプアップ」コースでは、当該地域だけでなく他地域への波及効果も期待される企画を選出しました。全48件の申請企画について、まず選考委員5名による書面審査を行ないました(評価期間:2025年1月下旬~2月中旬)。その後、書面審査を参考にしながら、2月下旬に選考会議を開催し、全7件の採択(助成総額:1,486,000円)に至っています。

 

 

オーガニックシフト部門

2025年度「オーガニック給食推進プログラム」助成先一覧


  はじめの一歩コース  
※北から順番に

 

申請企画名市川三郷町にオーガニックシフトの動きを!こども食堂とコラボ☆ 食についての上映会           
申請者一瀬瑞枝
活動地域山梨県西八代郡市川三郷町
助成額59,000円

市川三郷町は、甘々娘(トウモロコシ)や大塚にんじん等の慣行農業が盛んです。町内には数件の有機農家があり、小中学校では「地産地消」給食の一環で有機野菜を使用していますが、「オーガニック給食」を意図的に行なっているわけではありません。また、町内のスーパーや商店街の八百屋には他地域の比較的安価な野菜が並び、地元有機農家の野菜はわずかです。地元の幼稚園に対し、給食における地産地消の有機野菜活用や食品添加物の低減を働きかけてきました。幼稚園側は重要な視点と受け止めつつも、資金や体制に関わる課題が大きく、腰が重い状況です。

「幼稚園を動かすのは多くの保護者の意見かもしれない」、「地域の教育行政を動かすには町民の意識の変容が必要ではないか」という問題意識から、“町民への働きかけ”を切り口に、地域の子育て支援ネットワークと連携して、オーガニック給食を題材にした映画上映会と市民交流会企画に取り組みます。

 

申請企画名美味しく、楽しく地産地消           
申請者北信わの会 常田徳子(会長)
活動地域長野県北信地域
助成額100,000円

長野県北部・北信地域で食と農業、環境に関心のある市民や、オーガニック給食の推進をめざす若手農業経営者、議員などで構成されています。これまで、不定期に集まり情報交換を行なってきました。議員が一般質問を通じてオーガニック給食の必要性を訴えていますが、市民や行政、農家、JAなどの理解は十分に得られていないのが現状です。

中期的な目標として、農薬・化学肥料不使用のお米を活用したオーガニック給食(保育園・小学校で月1回程度)の提供を掲げています。今回の助成を活用し、市民や農業関係者の理解を深めるため、オーガニック給食をテーマにした映画上映会とトークセッションを開催します。

 

申請企画名地産地消からオーガニック給食へ…
申請者佐藤曉美
活動地域三重県桑名市
助成額75,000円

子どもたちに安心安全な給食を届けることをめざす有志グループを主宰しており、グループの働きかけをきっかけに、市の教育委員会担当者や地元生産者の協力を得て、2023年から年に数回の頻度で無農薬有機野菜を市内の小学校に納入してきました。調理員からは「皮ごと使えるので助かる」という声が、活動に賛同する地域住民や保護者からは応援の声も増えています。

申請企画では、桑名市の『ふるさと発見ランチ』として地産地消給食の取り組みの中で実現している、桑名市内多度地域の給食センターや桑名市桑名地区の小学校にオーガニック野菜を納入する現在の活動を維持しながら、有機農家を地域に増やすこと、不作時にも生産者が連携して安定供給できる仕組みづくり、野菜の仕分けと配達に関する態勢整備など、オーガニック給食活動の発展につながる課題解決の糸口を探っていきます。

 

申請企画名“食のつながり“で子どもも大人もみんな元気になろう!
申請者社会福祉法人ひまわり福祉会みらい保育園 山本広子(園長)
活動地域鹿児島県鹿児島市
助成額100,000円

現在、「みらい保育園」では国内産無農薬(自然農法)の丸大豆と小麦を昔ながらの醸造法を再現してゆっくりと熟成した本醸造の醤油を使用しています。また園の畑では、子どもたちが無農薬で苗植えや収穫体験をし、採れた野菜は給食に使っています。オーガニック給食に関心は持ちつつ、いま一歩踏み出せずにいたところ、本助成を機に真剣に取り組みはじめ、鹿児島市内の他の保育園にも普及していきたいという思いに至りました。

申請企画では、園児を対象にオーガニックバイキング給食会(年4回)、保護者と近隣住民に対するオーガニック給食試食会および生産者のおはなし会を開催し、鹿児島市行政に対して園の活動情報や実績に加え、市内におけるオーガニック給食の普及に関する要望を伝えます。

  ジャンプアップコース ※北から順番に

 

申請企画名北海道鹿部町におけるオーガニック給食をもっと地域一丸となって浸透させたい
申請者特定非営利活動法人のこたべ 平島美紀江(理事長)
活動地域北海道茅部郡鹿部町
助成額500,000円

2023年から北海道鹿部町に対して、農水省補助金による試験的導入助成金を使い、オーガニック給食の導入を働きかけた結果、2024年11月から月1回のオーガニック給食が本格的にスタートしました。けれども、給食センターや保護者、地域全体において、オーガニック給食に対する理解が十分に浸透しているわけではありません。

申請企画では、さらなる地域の理解浸透を目的に、保護者向けオーガニック給食啓発冊子の作成、栄養士向けオンラインスクールの開催、生産者の思いを伝えるメッセージビデオの制作と活用に取り組みます。メッセージビデオは給食前の子どもたちに視聴してもらい、保護者や教職員にオーガニック給食の理解を促します。

 

申請企画名市民の意識変容を促しオーガニック給食の拡大・定着を目指す「オーガニック給食食農教育教材作成事業」
申請者特定非営利活動法人しずおかオーガニックウェブ(SOW)
活動地域静岡県内
助成額500,000円

静岡県内では現在、7つの市町がオーガニックビレッジを宣言しています。県市町の担当者に対する情報提供や講演活動などを通じ、オーガニック給食の実現や有機農業の拡大に向けたアドバイスを行なってきました。宣言を行なった市町では年に数回、市町内産の有機米を使った給食を提供するなど、徐々にオーガニック給食が広がり始めています。地域のオーガニックな生産・生活の拡大に結びつけるためには、給食に合わせた食農教育の実施が望まれますが、現在では各市町の給食に合わせた食農教育の展開をめざし、このたびの申請企画ではオーガニック給食の食農教育教材と教員向けガイドブックの企画・制作、教材β版を用いた実験授業の実施、食農教育指導者養成研修に取り組みます。

※静岡県内のオーガニックビレッジを宣言している7つの市町(2025年3月現在):
 掛川市、藤枝市、川根本町、静岡市、富士宮市、島田市、伊豆の国市

各市町の給食に合わせた食農教育の展開をめざし、このたびの申請企画ではオーガニック給食の食農教育教材と教員向けガイドブックの企画・制作、教材β版を用いた実験授業の実施、食農教育指導者養成研修に取り組みます。

 

申請企画名地域とつながる「食」の体験を通して楽しく学ぶ研修会
申請者ゆうき給食つくり隊 木下めぐ美(代表)
活動地域長野県下伊那郡松川町
助成額152,000円

長野県の松川町立中央小学校では、給食室の職員が「ゆうき給食つくり隊」を結成し、同じく町内の生産者で構成される「ゆうき給食とどけ隊」の有機食材を給食で使用するとともに、栄養士や教職員向けの「おいしい給食づくり」の研修を行なっています。現在は、給食施設職員のオーガニック給食に関する意識統一に課題を抱えている状況で、「調理」することで地域の「食育」を推進できる人材を育成していきたいと考えています。

さらなる活動の発展に向けて、申請企画では保育園・小中学校における栽培活動の実施、給食関係職員を対象とした研修会、生産者と園児・生徒の交流会、オーガニック給食試食会の開催に取り組みます。町内で栽培された有機食材を町内の保育園・小中学校給食で使い、また食育活動の様子を発信することで地域の発展に貢献し、「食」を通して故郷を大切にできる心豊かな子どもたちが育つ環境づくりをめざします。

オーガニックシフト部門2025年度「オーガニック給食推進プログラム」助成選考委員(五十音順)

  • 郡山昌也(NPO法人全国有機農業推進協議会理事/オーガニック学校給食フォーラム実行委員)
  • 辰巳千嘉子(一般社団法人日本有機加工食品コンソーシアム代表理事)
  • 本田恵久(NPO法人こどもと農がつながる給食だんだん代表理事)
  • 安田節子(食政策センター・ビジョン21代表/一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト理事)
  • 星川淳(一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト代表理事)