11月19日、国立オリンピック記念青少年総合センターにて2017秋土壌プロジェクト報告会が開催されました。現在制作を予定している「東日本土壌ベクレル測定プロジェクト」の集大成「マップ集・アトラス版」(セシウム地図帳)の青写真として栃木県、山形県の2つを例に挙げ、測定結果に様々なデータを重ねることで見えてきた事例を紹介しました。
■ 山形県「土壌マップ」と自治体実施「食品中の放射性物質検査データ」から見えてきたこと(あがのラボ・村上直行)
山形県の地形と当時の天候(積雪の状況)などから、放射能がどの場所にどの程度定着したのかについて推測。さらに、自治体が実施している食品検査の結果と土壌マップを比較しました。
これらのデータから、セシウム濃度の高い地域において、ツキノワグマの測定件数が極端に少ないこと、山菜(コシアブラ、野生キノコ、タケノコなど)は、山に近い県境近辺で基準値を超えるものが散見されるなどの傾向が報告され、野生生物と山菜・キノコは、出荷制限のかからない自家消費に留意が必要との見解が示されました。
■ 栃木県解析報告・栃木県内ワークショップの報告・乳歯保存プロジェクトについて(C-ラボ・大沼淳一)
栃木県は、チェルノブイリ事故後に定められたチェルノブイリ法の基準、「移住の義務ゾーン」や「移住の権利ゾーン」に該当するエリアが複数あり、現在の日本の基準である「年間20ミリシーベルト」に大きな問題があること指摘。事故当時のヨウ素の流れのシミュレーションや水道水のヨウ素測定値などから、初期被ばくの可能性にも警鐘を鳴らしました。
また、チェルノブイリでは事故後8年~10年経ってから、内部被曝の値が事故直後よりもさらに大きくなったこと、セシウム137の半減期が30年であることから、日本でもキノコ狩りやジビエ嗜好などが、内部被曝を増加させる恐れがあると警告。「薪ストーブ」などの灰についても十分注意が必要であると報告されました。
さらに、C-ラボも参加している民間初の乳歯専用ストロンチウム測定所「乳歯保存ネットワーク」が紹介され、乳歯を集めて送るためのキットの配布は、用意したキットすべてがなくなるほどの盛況でした。
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