グリーンピース・ジャパンは、今年の7月~8月にかけて、ミツバチに毒性の強いネオニコチノイド系農薬の空中散布を実施した田んぼとしなかった田んぼでどんな変化が現れるかを調べるために、石川県のNPO河北潟湖沼研究所のサポートをいただき、田んぼの昆虫を採集するフィールド調査を実施しました。
調査したのは、昨年までは同じ農家が同じ方法で慣行栽培を行っていた二枚の田んぼで、一枚は慣行栽培でネオニコチノイド系農薬の散布をした田んぼ、もう一枚は今年から無農薬栽培に転換した田んぼです。ここで同じ方法で虫を採取し調査を行い、農薬散布の有無によって生きものの数や種類などに違いが現れるかどうかを見てみました。
害虫、益虫について、農薬の散布の直前、直後、3週間後の調査を比較してみると、次のようなことに気づきました。
(害虫について)
農薬の散布前に必ずしも害虫が多く見つかっておらず、また、散布直後には減少が確認できましたが、農薬散布から3週間たった3回目調査では、慣行の田んぼで害虫とされるカメムシ類(特にウンカ)が大きく増えていて、無農薬の田んぼではそれほど増えていませんでした。これは、この地域で継続的に調査を行っている河北潟湖沼研究所の調査結果とも重なります。
(益虫について)
一方、益虫といわれるクモは3回目に採取したものでは無農薬の田んぼの方が、数が多く体も大きくなっていました。無農薬の田んぼのクモは、クモ自体が農薬の影響を受けなかっただけでなく、餌となる他の虫が減らなかったことで生息を維持することができ、結果的に害虫の抑制に寄与しているということも考えられます。調査した時期の農薬散布は、斑点米カメムシを殺すことを主目的に行われていますが、斑点米カメムシは、全ての調査をとおして、農薬散布後の慣行の田んぼで一匹見つかっただけでした。
▼農薬をまく田んぼとまかない田んぼで、どんな違いがある? 調査の結果、意外な結果がみえてきました。
https://www.facebook.com/GreenpeaceJapan/videos/1814391351926798/
▼農薬と田んぼの生態系 田んぼの生きもの調査活動報告―2017 夏/秋
http://www.greenpeace.org/japan/Global/japan/pdf/20171201_Biodiversityresearch.pdf