本日(12 月 12 日)、原子力規制委員会は、京都市右京区嵯峨越畑地点の火山灰調査結果をもとにした「規制対応」を決定した。越畑地点の火山灰(大山生竹火山灰:DNP)の層厚は 25cm 程度、噴出規模は 10㎦以上を新知見として確定し、「原子炉設置変更許可の評価に用いた前提条件に有意な変更が生じる可能性がある」と認めながら、稼働中の大飯 3・4 号、高浜 3・4 号の運転停止は求めないことを決めた。さらに、火山灰対策も既存の許可条件で審査を続けるとした。私たちは、これに断固抗議する。
このように原発の運転継続を認めた上で、関電に対して、越畑地点等の 7 地点の火山灰層厚に基づくDNPの噴出規模を算定させ、原発ごとの火山灰の最大層厚を出すよう報告聴取命令を出すとした。3 月末までに関電に報告を求め、公開の場で審査し、遅くとも 4 月中に「規制上の対応の要否及びその内容について判断する」という。これらは、原発を止めた上で実施すべきだ。
今回の規制委員会の措置は、稼働中の原発を止めないことを最優先にしたものであり、到底認められない。既存の許可では、火山灰層厚 10cm、火山噴出量は 5km3 であり、越畑の新知見を満たしておらず、許可の前提が崩れているのは明らかだ。原発の運転は、第一に設置変更許可に基づいて行われるのではないのか。
さらに、火山灰対策の保安規定等の審査においても、既存の層厚 10cm を前提にして審査を進めるという。火山の噴出量によって、気中火山灰濃度を変わるが、これも既存の火山灰濃度で審査を進め、今週末に認可しようとしている。
越畑の新知見によって、大飯・高浜原発の設置変更許可は前提が崩れている。許可が無効の状態で運転継続することを原子力規制委員会は認めた。規制の根本を放棄した今回の決定は直ちに取り消し、原発の運転を直ちに停止させるべきだ。
【抗議声明】
設置変更許可が無効の状態でも、原発を停止させない原子力規制委員会
越畑地点の火山灰新知見を踏みにじるな! 大飯・高浜原発の運転を直ちに停止せよ!
http://www.jca.apc.org/mihama/saikado/statement181212.pdf
※原子力規制委員会は10月29日、大山(鳥取県)の火山灰分布に関する調査を京都市右京区嵯峨越畑で行っている。火山灰が堆積した地層の評価を巡り、事務局の原子力規制庁と関西電力との間で見解が分かれていたためで、同庁は、評価結果を原発の規制基準の議論に関連付けるかどうかは未定としていた。
大山の火山灰地層、異例の現地調査 京都で原子力規制委(京都新聞 2018/10/29)
https://this.kiji.is/429626850319975521