福島県有機農業ネットワークによる2018年度公募助成企画「有機農産物摂取による尿中のネオニコチノイド量低減に関する調査研究」の研究成果が、7月1日の朝日新聞大阪版に取り上げられました。
この研究は、日頃、農薬を散布して育てた慣行栽培の農産物を食べている子育て世代の20家族61人に5日間、有機食材(米、野菜、味噌、米麹、米粉のお菓子、豚肉)を摂取してもらい、その前後における尿中のネオニコチノイド系農薬含有量を比較する調査を行なったもの。1,000を超えるサンプルの3分の1を分析した結果、慣行栽培の農産物を食べていた場合5.0ppb(主にジノテフラン、アセタミプリド代謝産物)だったのに対し、有機食材の食事を5日間摂取した場合、2.3ppbと54%減少。その後さらに1か月有機食材を摂取し続けた場合は、94%まで減少することがわかり、短期間でも有機農産物を摂取することで、体内に農薬を取り込むことが防げる結果となりました。
神戸大学大学院の星信彦教授も紙面に次のようなコメントを寄せ、有機野菜拡大につながる価値の高い研究と評価しています。「野菜の選び方を変えるだけで体内の農薬が劇的に減ることを実際の測定値で示した、ほとんど前例がない価値の高い研究成果だと思う。有機農法は手間がかかる一方で『環境に優しい』といった数値化しにくい評価が主流だっただけに、具体的に効果が示される意味は大きく、生産農家の励みになるのではないか」。