2021年度の助成先、新外交イニシアティブ(企画名: 六ヶ所再処理工場の運転を前提とする原子力政策の転換に向けた国内外へのアプローチ)は、先ごろ発表された「第6次エネルギー基本計画」素案が現在パブコメ中(10/4〈月〉締切り)であることを受け、意見書を提出しました。
意見書は4項目からなり、使用済核燃料の再処理を前提とする核燃料サイクルの推進を根本から問い直すもので、六ヶ所再処理工場の運転開始の再検討を求めるとともに、再処理推進と抱き合わせの高速炉開発の凍結、さらには使用済核燃料の直接処分の検討を求めています。
使用済核燃料の直接処分については次のように提言し、核燃料サイクルの推進からの脱却を求めています。
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政府は使用済核燃料を資源と位置付けているが、日本学術会議は2012年、再処理にともなって発生する放射性ガラス固化体だけでなく、使用済み核燃料も高レベル放射性廃棄物としてみなすべきだと提言している。政府は、内閣府の特別の機関である学術会議の提言を真摯に受け止め、検討すべきである。そして、使用済核燃料を「高レベル放射性廃棄物」に含めるよう、早急に法改正することが求められる。
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【意見書4項目】
◆意見1 六ヶ所再処理工場の運転開始を再検討に付すべき
〈意見概要〉
再処理が抱える技術面・経済的合理性の問題を直視し、六ヶ所再処理工場の商業運転開始については再検討に付すべきである。それまで同工場の建設は凍結すべきである。
◆意見2 高速炉開発は中止又は凍結すべき
〈意見概要〉
実用化の目途が立っていない高速炉の開発に公的資金(すなわち税金)と時間を投入し続けるのは不合理である。高速炉開発は中止ないし凍結すべきである。
◆意見3 再処理推進と抱き合わせのプルサーマルは見直すべき
〈意見概要〉
合理性のない再処理と、再処理維持が目的としか説明のつかないプルサーマル計画を凍結し、再検討に付すべきである。また、現有するプルトニウムについては、関係自治体などへの適切な補償も含む現実的な削減策の真摯な検討と推進を一刻も早く開始すべきである。
◆意見4 使用済核燃料の直接処分を検討すべき
〈意見概要〉
日本の核燃料サイクル政策は実質的に破綻しており、この点を問い直すことなく再処理を前提に使用済核燃料の貯蔵能力を拡大し続けるのは問題を先送りしているに過ぎない。政府は高ベル放射性廃棄物の定義を見直し、使用済核燃料の直接処分を検討すべきである。
意見書とその理由などの詳細は下記からお読みいただけます。
▼【パブコメ】「第6次エネルギー基本計画」案に対するNDの意見
https://www.nd-initiative.org/research/9953/
意見書をわかりやすく解説した動画も公開しています。
▼【パブコメ】弁護士が解説(第6次エネルギー基本計画)
https://www.youtube.com/watch?v=lu3H5uI-ypM
なお、同団体はこれまで第6次エネルギー基本計画改定に先立ち、原発・核燃料サイクルの問題に関するオンライン講演会の動画や解説動画、資料などを公開していますので、こちらも併せてご参照ください。
▼原子力政策はどうなる?―エネルギー基本計画の改定と原発・再処理の行方
https://www.youtube.com/watch?v=WFnf1Om9TGc
▼【問題点】エネルギー基本計画改定(解説:久保木太一ND研究員・弁護士)
https://www.youtube.com/watch?v=WxoLVXpQcx4
▼【解説】エネルギー基本計画と核燃料サイクル(加部歩人ND研究員・弁護士)
https://www.youtube.com/watch?v=VkqeafcAPhY
▼六ヶ所再処理工場の稼働は必要か―包括的検証と国民的討議を―
https://www.nd-initiative.org/research/9727/
▼エネルギー基本計画と 使用済燃料問題
https://www.nd-initiative.org/research/9794/
▼再処理政策見直しの歴史
https://www.nd-initiative.org/research/9809/
▼エネルギー基本計画と 再処理・核燃料サイクル
https://www.nd-initiative.org/research/9826/
▼パブリック・コメント制度とは
https://www.nd-initiative.org/research/9894/