アクト・ビヨンド・トラスト(abt)のメンバーが、日々感じたことを徒然に綴る「abt徒然草」、第4回目は助成担当の八木です。
「池の水ぜんぶ抜く」というテレビ番組が意外な人気を博しているとのウワサもありますが、ここ東京でも、近年は公園の管理組合がNPOなどに委託して、池の水を抜いて水生生物の生息環境を調整する「かいぼり」が行われています。井の頭公園(東京都武蔵野市)のかいぼりでは、無造作に投げ込まれた自転車が現れたことが地域のニュースにもなりました。
杉並区の和田堀公園を先日たまたま訪れたら、まさにかいぼりの真っ最中。近所の子どもたちも交えたボランティアスタッフが、ポンプで水抜きした池から魚たちをすくい出して在来種と外来種に仕分けをしています。在来種は池に戻すのですが、外来種の運命は……説明には「駆逐」とありましたので、可哀想ですが、もう元の池には戻れないのでしょう。
池の周りで、スタッフさんが水槽に仕分けした生き物の説明をしてくれます。写真は在来種のスジエビ。ガラス細工みたいな繊細な造形の生き物が、あの濁った池に住んでいたとはびっくりです。いっぽう、いつも岸辺で甲羅干ししていたカメたちは、ほとんどがミシシッピーアカミミガメでした。ミドリガメとして縁日でも売られている外来種で、飼いきれなくなって池に捨ててしまった人が大勢いるのでしょう。在来種と分けられて大きな盥に入れられると、何だか凶悪な生き物に見えてくるような……。
でも、生き物に善悪なんて本当はないわけで、生態系を擾乱するような生物の移動を行った人間がそもそも悪いのです。水槽の横にはパネル展示もあり、身勝手な放流がなぜいけないか、子どもにもわかるように解説してありました。ペットのカメを公園に散歩させにくる名物おばさんが立ち寄って、不幸なカメたちの身の上に憤る姿も。おばさんの「愛亀」をなでなでしながら、責任を持って生き物と接することの大事さを、スタッフさんとおばさんがしみじみと談義してたのが印象に残っています。