※こちらのイベントは終了しました。アーカイブは後日公開予定です。
2024年1月1日に能登半島地震が発生しました。石川県珠洲市はかつて関西電力と中部電力がそれぞれ計画する珠洲原発の建設予定地でしたが、1975年からの住民反対運動により建設計画は2003年に凍結しています。また、珠洲市が能登半島の先端に位置しているのに対し、半島の付け根にあたる志賀町には東日本大震災と福島原発の事故後から運転を停止中の志賀原発があります。もしも、このたびの能登半島地震が稼働中の2つか3つの原発を直撃していたとしたら、偏西風によって放射能は東日本全域に降り注いでいたかもしれず、被害は3.11の比ではなかった可能性があります。
能登地方や隣の福井県若狭湾沿岸をはじめ、日本は地震列島であるにもかかわらず全国に54基の原発が立ち並んでいます。一般的に原発は交通が不便な沿岸部に建設されることが多く、地震による土砂崩れや地割れで道路は分断されて移動はさらに困難になり、津波の恐れがあれば海上にも逃げられません。また、数万~数十万人を受け入れられる避難施設を常に用意しておける地方自治体は少ないでしょう(志賀町の人口は約18,000人)。さらに、長距離の移動が困難な高齢者や妊婦など身体的弱者はどうなるのか――3.11で避難できずに取り残され、亡くなられた人たちがいたことを忘れてはなりません。
原発の問題に取り組む市民団体や弁護士などをゲストに招き、原発立地地域の避難計画に関する実効性を中心に議論を深めながら、避難が現実的ではない地方にこれ以上の原発を作らず、原発に依存しない社会を実現するために、私たち市民にできることは何かを話し合いたいと思います。
【日時】2024年9月16日(月・祝)14:00〜16:00
【場所】Zoomを用いたオンライン方式(日本語)
【参加費】無料
【主催】一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト(abt)
【プログラム(予定)】
・開会挨拶と趣旨説明、ゲストとモデレーターのご紹介
・講演(1)「東海第二原発運転差止判決の意義――避難計画のみを理由に運転を差し止めた最初の判決」
大河陽子さん/脱原発弁護団全国連絡会所属
・講演(2)「原発がある地域の住民として、避難計画に対する不安と問題意識」
石地優さん/安全なふる里を大切にする会(福井県若狭町)
・講演(3)「福島原発事故下で、避難できなかった人たち ~探査報道『双葉病院 置き去り事件』から~」
中川七海さん/Tokyo Investigative Newsroom Tansa リポーター
・ディスカッション「原発立地地域の避難計画が非現実的だとしたら、私たち市民にできることは何か」
モデレーター:青木将幸さん/青木将幸ファシリテーター事務所代表
・質疑応答
・abtよりご案内+閉会挨拶
※スケジュールは予告なく変更する可能性がありますのであらかじめご了承ください。
【登壇者のプロフィール】
大河陽子さん/脱原発弁護団全国連絡会所属
2012年に弁護士登録。原発運転差止訴訟について、東海第二原発運転差止訴訟、伊方原発運転差止訴訟、大間原発運転差止訴訟、島根原発運転差止訴訟等の弁護団に参加し、避難計画の争点を担当。また福島第一原発事故の責任を問う訴訟について、東電刑事裁判、東電株主代表訴訟の弁護団に参加。共著に「東電役員に13兆円の支払いを命ず!東電株主代表訴訟」(旬報社)、「東電刑事裁判 問われない責任と原発回帰」(彩流社)。
石地優さん/安全なふる里を大切にする会(福井県若狭町)
私は、今日本で一番多くの原発が稼働し、一番古い原発が稼働している福井県の若狭町に住んでいます。関西電力美浜原発から約15kmに位置します。
能登半島地震が起こったとき、私の地でも震度4の長い揺れに襲われました。原発事故が頭をよぎりました。美浜原発のある敦賀半島は、陸域にも海域にもいくつもの活断層があり、いつ大地震が起きても不思議でない地域です。それだけに、能登半島地震は人ごとでなく、志賀原発が動いていなくて、珠洲原発が出来ていなくてよかったと心底思いました。
原発事故での避難は無理ということが、能登半島地震ではっきりしました。道路が寸断されてしまえば車で逃げることはできない、家屋の損壊で屋内退避が出来ないのは誰の目にも明らかです。福井の若狭のそんな現実を紹介できればと思います。
中川七海さん/Tokyo Investigative Newsroom Tansa リポーター
1992年、大阪生まれ。大学卒業後、米国に本部を構える世界最大の社会起業家ネットワーク「Ashoka」に勤務。2020年から、探査報道に特化した非営利独立メディア「Tokyo Investigative Newsroom Tansa」のジャーナリストに。原発事故下の精神科病院で起きた事件の検証報道「双葉病院 置き去り事件」や、空調大手・ダイキン工業による大阪での化学物質汚染を描いた「公害PFOA」、長崎県で起きた高校生のいじめ自殺の隠蔽事件「保身の代償」などを手がける。「公害PFOA」でPEPジャーナリズム大賞(2022年)とメディア・アンビシャス大賞<活字部門>優秀賞(2023年)、「双葉病院 置き去り事件」でジャーナリズムXアワード大賞を受賞(2022年)。
青木将幸さん/青木将幸ファシリテーター事務所代表
ファシリテーター。 1976年、世界遺産・熊野古道ぞいで生まれ育つ。 2003年、日本で初めての会議ファシリテーション専門事務所を設立。 家族会議から国際会議まで、さまざまな会議を進行する。企業、行政、NPO、大学、生協、社協、国際機関から自治会、小学生からお坊さんの会議までクライアントの幅は広い。コロナ期にはオンライン会議ファシリテーターとして、近年では、美術分野における対話型鑑賞や熊野古道での巡礼対話のファシリテーターとしても活動を展開し、その領域を広げつつある。