7月31日(土)に開催したabtの10周年記念イベント、Future Dialogueの第1回「市民と海でつながる東アジア~放射能汚染水海洋放出と近隣諸国の市民社会動向」のイベントレポートと動画をabtサイトに公開しました。
冒頭、FoE Japan事務局長の満田夏花(みつた・かんな)さんに汚染水処理の現状と問題を解説いただき、続いて環境・平和イベント「東アジア地球市民村」(2013~2015年度企画助成)のコーディネートを担った中国の朱惠雯(シュ・ケイブン)さん、台湾の環境NGO「地球公民基金」兼任研究員の陳威志(ダン・ウィジ)さん、日韓市民社会交流に取り組みabt理事も務める曺美樹(チョウ・ミス)さんから、それぞれ中国・台湾・韓国の汚染水海洋放出をめぐる市民社会の動向について報告を受けました。
各国の現状については、市民団体や環境NGOが署名や声明などで反対の意思を表明する一方、政府の反応は、与党と野党のかけひきや日本政府との関係など政治的な背景が強く影響していることがわかり、日本の報道からは見えづらい実情が窺えます。
また、政治的立場やナショナリズムと結びついた発言・批判は、汚染水海洋放出のみならず原発に対する本質的な議論の妨げとなるという意見や、曺さんからは「今、国と国のギクシャクしている問題で議論を進められないのであれば、国を越えて、そこに暮らしている人たちが意見を交わし、できることを進めていくべきではないか」という提案もあり、地理的に近く、文化的にも似た部分が多い東アジアでの市民の連携や対話の必要性をあらためて認識できたイベントになりました。
▼動画・イベントレポート「市民と海でつながる東アジア~放射能汚染水海洋放出と近隣諸国の市民社会動向」
https://www.actbeyondtrust.org/abt10th-report01/
なお、abtは、助成の3分野のひとつである「東アジア環境交流」部門において、「空と海でつながり、国境を越えた環境課題と文化的共通性の多い東アジアで、市民同士が自然と共生する知恵や経験を持ち寄って持続可能な未来をともに築く」ことをめざして、これまで次のような活動に対し助成をしてきました。
・日中韓台を結んだ「東アジア地球市民村」の継続開催
・中国・雲南省の世界自然遺産地域に適したエコツーリズムのガイドラインづくり
・東アジアのユース環境リーダーによる対話・交流
・在来種・固定種の「タネ」をテーマにした東アジア先進事例の共有・交流