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トップページ 国内の検出状況 abt「葉物野菜のネオニコチノイド系農薬残留調査」(2016年夏)結果発表 こまつな、ほうれんそう、はくさい、レタスのすべてから検出!

一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト(abt)では、2014年に行なった米と茶葉の残留調査に続き、市場に流通する葉物野菜4種(こまつな、ほうれんそう、はくさい、レタス)の合計30検体について、浸透性農薬とも総称されるネオニコチノイド系農薬7種とフィプロニルおよびフロニカミドの残留調査を実施しました。東京、大阪、金沢のスーパーなどで検体を購入し、第三者機関に検査を依頼したものです。

その結果、全体の67%という高い割合で、4種類すべての葉菜からネオニコチノイド系農薬残留が検出されました。これらの浸透性農薬が農業生産現場で広く使われている証です。いずれも日本の残留基準値以下でしたが、同じ検体に複数の農薬の残留が見られる割合も30%に達するなど、注意を要する結果となりました。報告書では、検出率、複数農薬検出率のほか、日本の基準値とEUの基準値との比較をまとめています。また結果について、学識者からのコメント(平久美子氏、山田敏郎氏)も収録しました。

ネオニコチノイド系農薬は植物体内で活発に代謝され、もとの農薬より強い毒性を持つ代謝物もあります。浸透性農薬そのものが検出されない場合でも、代謝物がどの程度残留しているか明らかでなく、代謝物の分析は今後の課題です。さらに、同じ生体作用機構をもつ浸透性農薬の複合汚染や複合残留について、合理的な残留濃度評価法がない現状を変える必要性も浮き彫りになりました。

コメントを寄せた学識者の一人、東京女子医科大学東医療センターの平久美子医師は次のように述べています。「ネオニコチノイドが多種類の野菜や果物に残留し、一生涯、毎日何かしらのネオニコチノイドを摂取するという事態は確実に進行しています。…(中略)…やはりネオニコチノイドのADI(1日摂取許容量)を下げて、国民全体の曝露レベルを下げることが必要だと思われてなりません。」

食卓に上る機会の多い葉物野菜にネオニコチノイド系農薬が幅広く残留する事実を前に、この問題を考える一助となることを願います。

葉物野菜のネオニコチノイド系農薬残留調査(2016年10月)