秋の入り口になり、全国各地での『静かな汚染、ネオニコチノイド』上映会はピークを迎えているようです。前回に続き、各地でのアンケートの声を一部ご紹介します。今回は、生産・流通の問題に触れた感想をピックアップします。実際に農業の現場に携わる方からの声も多く寄せられました。
「正直、農薬については『稲作ごよみ』に書いてある農薬を『安心』して使用していたが、勉強不足を痛感している。昆虫が少なくなったことは実感する。有害性が立証されたときは手遅れという事実には農薬問題の難しさを感じる。使わないことしか個人としての対応策はないのではないかと思うとやりきれない。神経系の次にくる農薬は一体どんなものがあるというのか。その時農業が果たして存在しているのか不安である。」
「本剤については以前から知っていましたが、改めて考えさせられました。というのも、5年前から慣行から有機JASに取り込み無農薬栽培をしているため、自分とは関係ない問題であると思っていましたが、自分を取り巻く環境を考えたら、もっと広い視野で取り組まなければならないと認識しました。」
「今の農薬は、指定の時期に、指定の作物に、指定のように薄めて使えば、分解されて問題ないと、行政関係者は言います。私たちは、それを確かめるすべを持ちません。本日の映画は、尿の中に農薬の成分が残留していると教えてくれました。それでも、慣行農法の人を否定するのでなく、みんなが協力して、持続可能な社会を次の世代につなげていけるといいと思います。そのためにも、作る人と食べる人の顔が見える『地産地消』は大切なキーワードだと思います。」
「農薬のリスクと生産者の葛藤、農協の指導にも問題点があります。」
「閾値の話がありましたが、安全であることにボーダーはないと思いました。つまりここまでは安全、その先は危険などというのは、商品を売りたい人たちの考えで、ダメなものはダメだと思います。一方でヒトは感情があるので難しく、農民作家の故山下惣一さんが『農薬も使ったことのない農家に、とやかく言われたくない』と言っていたのが他人事でないように感じられました。私も幼い頃から父を手伝い、農薬を仕分ける作業など幼少期にしていました。当時は、『これが父や祖母の田仕事を楽にしてくれるものだ』という認識があったように思います。今、有機農家として思うのは、日々の大変な外仕事から解放され家族を養ってくれた恩と、一方で、ただ無知であったのだという思いです。しかし、また当時は情報も少なかったでしょうし、今みたいな時代でないですから、農協から言われたことに従い、周りと足並みを揃えざるを得なかったのだと思います。だからこそ、今、われわれにできることを考えて、行動していきたいと改めて思いました。」
「わかってはいたものの、農薬が健康を害し、環境や生物にも影響していることを改めて再確認しました。自分にできることは何なのか、少しずつでもこの事実を周りの大切な人たちにも広がるようしていくことと、物価が高騰している中で野菜だけでも安心して無農薬のものを手軽な金額で買ってもらい、家族で笑顔で食事を楽しんでもらえるよう、地道に野菜作りに励もうと思いました。」
「ネオニコチノイド農薬の危険性を改めて認識できて大変有意義でした。私は、30年以上、農薬・化学肥料不使用の稲づくりに取り組んでいますが、このような安全な稲作をもっと普及する必要性を痛感しました。」
9月3日に「とちぎ夢給食プロジェクト」さんが宇都宮市で開催したイベントには40人が参加し、上映のほかに紙芝居や持続可能な農業に取り組む生産者さんの講演も。県内の有機農家さんの食材を使って地元のお弁当屋さんが作ったマクロビランチ(マクロビオティックは玄米食を中心とする食養法)も楽しんだそうです。主催者の安田さんからは、「参加者の中には初めて知ったという方もいて、問題意識を持たれたようでした。やはり映像でみるのは説得力があると思います」との感想をいただきました。
(写真:とちぎ夢給食プロジェクト主催「守りたいひとがいるあなたと一緒に 『食の未来を考える』」の様子)
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